<南風>にじいろのしまうま


社会
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 「ママ、まきのぬり絵、変だって」息子は毎日悩んでいた。幼稚園のお友達に「ぬり方や、使う色が変だ」と言われたそう。

 「何色が好き?」と聞くといつも「全部」とうれしそうに答える。どんな色もタイセツな色。だから、塗り絵はいつも「にじいろ」になる。全ての色を使いたいのだ。そしてプリンセスが大好き。他の男の子は戦隊モノがお気に入り。色使いはハチャメチャでプリンセスが好きな男の子はお友達にとって異様な存在なのだ。悩んでいることを先生に話してみた。

 するとその日、先生はすぐに他の先生と息子の悩みを共有してくださり、子供たちに「にじいろのしまうま」という絵本を読んでくださった。こやま峰子さん作で絵があの、やなせたかしさん。にじいろのしまうまは珍しいけど仲良くなった動物達は受け入れる。

 ある日、にじいろのしまうまは仲間達が困っている姿を見て自分の色をひとつずつ使って助けていく。しまいには、色がなくなってしまう。それでも仲間たちは「素敵だ」と感謝するお話だ。人のために行動することを描くと同時に「違っていいのだ」ということを教えてくれる絵本だ。絵本を読んだお友達は「マキくんのぬりえも虹色だね」と喜んでくれたそう。

 昨日まで異様な存在だった息子は突如スポットライトを浴びることとなった。その日から楽しそうに幼稚園の話をする。息子もお友達も悪くない。その子の放つ表現の輝きを受け止めて広げていくのが私達の役割なのだと改めて実感した。

 「にじいろのしまうま」を選択して読んでくださった素晴らしい先生。そしてそんな先生のもとで、のびのびと遊ぶ子供たち。みんな違うそれぞれの個性。これからも「生きることそのものが素敵なこと。違うって素晴らしいのだよ」と伝え続けていきたい。
(玉城恭子、HaNaCoLi代表取締役)