<南風>明日はどうなるか


社会
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 気象庁には世界最速といわれるスーパーコンピュータが備え付けられている。天候、気圧、風向、気温などが地球上の高度、緯度、経度の空間上の座標で示され、時々刻々の大気の変動を天気予報として発表している。的中率は、改善に改善を重ね90%に近いときもあり、天気については人間は未来を見通せるに近い状態になったとも言える。

 企業経営においても、突如として明日があるわけではなく、今日の連続としての明日を考えなければならない。数学には近似式という便利な計算式があり、簡単に将来を試算できる。仮に、将来の情報が無ければ、これは「第ゼロ次近似」である。どのような明日になるのかはわからない。

 明日を予測し、経営するためには、過去と現在のマーケット、消費動向、GDP、為替、市場などの情報を把握し、それが経済と自社の経営にどのような影響があるかを考える。明日のために「第一次近似」へとレベルアップさせる必要がある。予測される明日に、企業の計画やイノベーションを投影して、企業経営の将来像をより明確に、実現性の高い将来「第二次近似」へと導き、明日を考えなければならない。

 しかし、経済は生き物である。経営にとって必要なのは、単に将来を予測することではない、先を見ることである。予測も難しいがその実現した将来において、どのような価値を生む経営ができるかということが重要である。例えば、十余年前の世界的なリーマンショックを予測できた者はほとんどいなかった。それは、その前年に起きた米国のサブプライムローンという低価格住宅バブルの後遺症といわれているが、その後遺症の行先を予測し、対応できた企業は数少ない。それでも、危機をバネにして、ビジネスモデルを再構築して、成長した企業もあるから、明日は面白い。
(山内眞樹、公認会計士)