<南風>おきなわマラソン


社会
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 地響きとともに1万人が一斉に走りだす。風光明媚な勝連城跡の上り坂。金武湾を望みながらうるま市街地へ。アップダウンはこれでもかと続き、嘉手納基地内は応援が一層パワフルになり、最終盤へ強く背中を押してくれる。

 トップ選手に「ハード過ぎる」と言わしめる「おきなわマラソン」のコースも、次々変わる沿道の景色や雰囲気はどの大会にも負けない魅力がある。

 「残すはたった42キロ」。スタート地点に立つまでにいかに練習を積み重ねてきたか、その自信を裏付けるシドニー五輪金メダルの高橋尚子さんの名言だ。

 大会には出たいが練習は楽ではない。ランナーのメンタリティーを備えていない私は「調子が上がらない」などと適当な理由をつけて、走る距離を短くしたり途中で切り上げたり。このままでは完走は危うい。

 そんな時編み出したのが「遠隔地置き去り走法」。例えばイオンライカムで買い物した後、先に家族は車で帰り自分だけは那覇まで走るというもの。ショートカットも途中棄権もできない。早く帰りたければ走るしかないのだ(無理するとケガの恐れもあるのでお勧めしない)。

 ランニング強制システムのお陰でフィニッシュテープを切ったあとの真の楽しみであるビールにありつけるが、練習量は完走できるギリギリなのでいつも制限時間いっぱいレースを楽しんで(苦しんで)いる。

 実況生中継のためしばらく「おきなわマラソン」に出ていないが、16日は最多タイ3度優勝の仲間孝大選手、県記録を持つ濱崎達規選手を軸に激しいレース展開になったのでは。

 とにもかくにも完走できればそれでいい。そんな練習嫌いが、どうしたわけかマラソンにスイムとバイクを加えたトライアスロンに手を出してしまうのある。この話はまた別の機会に。

(佐久本浩志、OTVアナウンサー)