<南風>ママの仕事は幸せ探し


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 「弁護士って、どんな仕事なの?」。息子が私の友人に聞く。「お手紙書く仕事だよ」「オテガミ…」と考え込む。意味がわからない様子。

 「弁護士」はイメージしやすい職種の一つだと思っていたが、子供に仕事内容を説明するのには苦労しているようだ。そんな愛する我が子は「大人になったらママと一緒に働きたい」といつも言う。楽しく働いているように見えるらしい。親としてこんな幸せなことはない。よしよし。すると「ママはどんなことしてるの?」と。「えっと…」。

 私は精神保健福祉士という資格で働いてきた。精神保健福祉分野の専門知識を持って、心に病を抱える方々の社会復帰を手伝う仕事だ。「料理の練習」をすることもあれば「お家探し」をすることもある。公的支援制度の紹介や就労支援もある。多岐にわたる。大人向けに説明する時もどのように自分のことを伝えようか考え込む。活動分野は病院や地域、学校、役所など幅広い。4歳の子にどう伝えようか。

 「ねー、なに?」。急かされて出てきた言葉が「ママはね、楽しく生活するためにはどうしたらいいのか、一緒に考えるお仕事だよ」。わからないよな。すると「楽しいの? いいな」と目を輝かせた。ついでに「福祉」を辞書で調べると「幸せ」とある。とても温かいものなのだ。それぞれの幸せを願う温かいものが「福祉」。家庭での「ママ」の役割にも似ている(お父さんもですね)。気持ちよくなった。私は自分で選択して決断して実行できることが「心の自立」だと考えている。

 人に頼ることも素晴らしい、頼らないことも素晴らしい、と思える社会にしていくことが私の目標だ。翌日、息子が言った。「ママ、やっぱり救急車に乗る仕事か、階段も作りたいから大工さんがいい」「えー」
(玉城恭子、HaNaCoLi代表取締役)