<南風>大琉球神楽


社会
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 神楽とは、神前に奉納される歌舞のことで、有名な起源説話は、天照大神が天の岩戸に隠れた時、アメノウズメノミコトが神がかり的に舞ったとされることです。

 沖縄ではあまり聞きなれない神事ですが、それを沖縄的なエンターテインメントとして取り組み始めたのが「奥武山大琉球神楽」です。去る2月15日に第4回目が開催されました。沖縄八社の一つである沖宮の上地禰宜の監修で、制作や各種芸能団体で構成する実行委員会で企画運営を行い、神話を参考とした物語を作り、平和の使者を中心に奉納舞台が展開されます。

 第1回目の使者は、和太鼓奏者の林英哲さん、2回目は歌手の沢田知可子さん、3回目は書家の茅原南龍さん、そして今回は歌手の日出克さんでした。場所は毎回奥武山にある沖縄県立武道館です。

 琉舞、旗頭、三線、エイサーと沖縄独自のものから、今回はバレエ、ベリーダンス、タイ舞踊、タヒチアン、和太鼓など、多種多様な芸能が90分の中に凝縮されました。私は慶良間太鼓を率いて和太鼓のセクションを担当していますが、総合芸術の中で展開する和太鼓は、日頃の舞台では体験できない新しい発見がいくつもあり、メンバーも普段とは違う練習に四苦八苦しながら取り組みました。

 百人を超す演者で繰り広げる舞台は圧巻です。上地一郎プロデューサーの願いは沖縄観光のエンターテインメントコンテンツとしての展開で、これまで県外、海外からも多くの観客が来場しています。沖縄の特異性(チャンプルー文化)を生かした舞台は彼らの目にどう映ったのでしょう。

 神楽の起源が天の岩戸開きであるならば、奥武山大琉球神楽は観光産業における沖縄エンターテインメントの扉を開き、世界へ発信する奉納舞台と言えるでしょう。
(新垣徹、渡嘉敷村商工会会長)