<南風>JICA海外協力隊


社会
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 2月20日にJICA海外協力隊の募集(年2回)を開始しました。協力隊は、開発途上国からさまざまな要請(ニーズ)を受け、それに対応する技術、知識、経験を持っていて、開発途上国の人々のために活かしたい、という意志のある、20歳から69歳までの方を募集し、選考・訓練の後、現地へ派遣するものです。1965年、初めてラオスへ5人が派遣されて以来、累計で5万3千人が世界各地で活動してきました。長い歴史が示すとおり、JICAが使命を果たす上で大変重要な事業の一つです。

 沖縄からは68年に初めて、3人の隊員がラオスとインドへ派遣されました。累計では592人の県出身者が派遣されています。1月末時点で、39人の「ウチナーンチュ」(沖縄県出身者および県外出身者で沖縄に勤務先・大学等があった人)がアジア、中南米、大洋州、アフリカ、欧州の28カ国で活動中です。人数ではもっと多い県もありますが、人口に対する応募者比率は沖縄が全国1位です。また、国内初の隊員OB会の誕生(70年)も沖縄県でした。ここにも、世界の架け橋(万国津梁)としての沖縄の人の気概を感じます。

 多岐にわたる分野でウチナーンチュが活躍する中、教育委員会とJICAの合意に基づき、沖縄と縁の深いラオスとボリビア・オキナワ移住地への県教員の派遣も継続しています。隊員は海外に出て、沖縄や日本の状況を自分の目で客観的に見る機会を得ます。さらに各々の任地で三線やエイサー、空手、沖縄料理など、沖縄の文化や伝統を紹介し、自身の沖縄とのつながりを再確認したり、沖縄ならではの技術や知識の意義を再認識します。帰国後、その貴重な経験を周囲に還元し、暮らしやすい社会にしていく力となることも、協力隊事業の成果です。皆さまのご応募をお待ちしています。
(佐野景子、JICA沖縄センター長)