<南風>愛と学びの循環


社会
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 「助ける人もすごい。助けてもらえる人はもっとすごい」。義父が言っていた。助けてもらえる人の生き方が反映されるからだろう。この言葉を思い出す女性に出会った。彼女は両親が病のため乳児院・里親・児童擁護施設に預けられた。実親と暮らしたことはない。「怒り」をパワーにして生きてきた。世の中を見返したいと勉強に励み進学校に入学、その後大学へ。アルバイトに追われ「学び」を安心して受ける事ができなかった。心身の調子を崩し、中途退学。やがて私達の福祉事業所にたどり着いた。

 実親と暮らせないのも学校をやめたのも、全部自分の責任だと思っていた。「血の繋(つな)がりは関係ない。自分だけに向けられる大人からの“特別な愛”で人生が変わる」と訴えていた。

 そんな彼女が再び夢を語れる時が来た。「大学にもう一度通いたい」自分と同じ立場の子どもたちの力になりたい。社会福祉士取得を目標に沖縄大学を受験し合格。「前のように借金に追われたら意味ないよ。SNSで事情を全部説明して進学資金の援助を募ってみよう」。彼女の代わりに私がネットに投稿してみた。自身をさらす事で精神的にも負担を強いられる。恐怖しかない。すると合格発表からたった3日で投稿は県外にまで広がり、なんと入学金以上のお金が集まったのだ。

 沖縄の子どもの貧困率は29・9%。全国平均の約2倍。「どうせ無理だろう」と夢を語る機会さえ奪われる子どもたちがいる。私が親から安心して「学び」を受ける機会を与えてもらった様に、私も未来の子どもたちの学びの機会を増やしたい。現在会社では「社会的擁護を受ける子、または同等の環境にいる子」を対象に生活資金や学費を援助するサポーターを募っています。詳細は(電話)098(943)9456ハナコリまで。
(玉城恭子、HaNaCoLi代表取締役)