<南風>東日本大震災から9年


社会
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 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。

 マスクや消毒液だけでなく、トイレットペーパーなど紙類が店頭から姿を消し、小中学校は臨時休校、企業もリモートワークなど働き方を見直し、実践している。世界の全大陸に広がった新型コロナウイルスの影響は、リーマンショック以上に経済に大きな影響を与えるかもしれない。

 3月11日で、東日本大震災から丸9年がたつ。背景は異なるが、今回のコロナウイルス感染拡大における社会の様相を見ていると、東日本大震災の後と時々重なるところがある。

 2011年当時私は外資コンサルティング会社の社員だった。被災された方々に何かお役に立てないかという思いで、起業する意識が明確にあったわけではないが、結果としては会社を辞めた。実はその半年前に大切な人を突然亡くした経験があり、そんな自分の気持ちが、被災地の方々に重なり、どこか意地にもなっていたのかもしれない。最終的には、陸前高田を拠点に気仙地域の椿油を使った化粧品の開発・販売を始めることになった。この商品は昨年リニューアルして、今でも販売を続けている。

 あの時、私だけでなく多くの人が自分の中の「何か」が動かされた経験をしたのではないだろうか。私の周りには、仕事観が変わって転職した人もいれば、人生観が変わって移住した人も多い。

 私たちは、こうした有事を変化の機会として、自分の内面の声を聞き、身体の感覚を受け取りながら、人生の選択をしていっているのだろうと思う。それは日常の中では、当たり前過ぎて見過ごしてしまいがちなことなのだろう。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大が、私たちの未来にとって良い変化の機会となるように願っているし、そうすべく行動していきたい。
(渡邉さやか、AWSEN創設・代表理事 re:terra社長)