<南風>生態系の危機

 初回の「南風」で国立公園の保全と利用のことに触れました。渡嘉敷島では十数年前より外来種の獣、「ニホンイノシシ」が繁殖し農作物の被害が多く出ました。また雑食性であるがゆえ、トカゲ、カエルなどの小動物や昆虫類、野生植物の根や塊茎(かいけい)、季節によってはウミガメの卵まで被害が出ているのが現状です。

 集落内まで出現が目撃されたり、夜間に村道を横断するなど、奥深い山間部から人間の生活区域まで行動範囲が広がっています。

 繁殖力もすごく、資料によると産仔数は1回の出産で平均4~5頭で、初産齢は2歳で毎年繰り返し繁殖を行うそうです。島には天敵がいないことも要因かもしれません。

 農業従事者の方々は柵を設置したり、番犬を置いたりと自己防衛策を取っています。行政も罠を仕掛けて年間百頭もの駆除を行っていますが、個体数の大幅な減少には至っていません。

 先日、沖縄県による大規模な駆除の事業計画の住民向け説明会が行われました。私も参加しましたが、渡嘉敷島の自然環境上、根絶は厳しいとの見解でした。参加住民も少なく、あきらめているのか、もう関心がないのか、いろいろ考えさせられました。県外ではイノシシによる人的被害も多く報道されています。渡嘉敷島では伝統である朝のラジオ体操が冬の期間中、危険を避けるため、集合開催から分散開催で行われています。

 現在、環境省、沖縄県、渡嘉敷、座間味両村で対策会議を立ち上げ、予算もついたようです。一日も早い完全駆除が理想ですが、目に見える個体数の減少を期待したいものです。

 今後、外来種の持ち込みによる生態系の危機を回避するためにも、しっかりとした条例を制定し、持ち込みを完全に禁止し、国立公園の生態系の保全保護を徹底してほしいと望みます。

(新垣徹、渡嘉敷村商工会会長)



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