<南風>グッドバイ・コロナ


社会
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 表紙はとても重要だ。完成図を明確にして、イメージをカメラマンやデザイナーに伝えないといけないのだが、毎回うまくいかない。

 今回のアウトナンバーのもともとのテーマは『デンジャラスイエロー』。というのもサンロッカーズ渋谷は1月に行われた天皇杯で優勝し、日本一になった。チームカラーの黄色と激しいプレッシャーディフェンスからボールを奪う攻撃的な戦いぶりが、都会に巣食う獰猛なスズメバチを連想させるからである。ベテランと若手が融合し、走攻守兼ね備えた選手を揃(そろ)え、どこからでも点が取れる危険なチームだ。

 指揮を執るのは、3シーズン前までキングスのヘッドコーチを務めた伊佐勉氏。コート上では山内盛久と渡辺竜之佑、沖縄県出身のポイントガード2人が躍動する。今月で30歳になる山内は、キャリアでも最高の時期を過ごしているように感じる。天皇杯決勝では、終盤に逆転スリーポイントシュートを決めるなど指揮官の期待に応えている。渡辺は189センチの長身と身体の強さを活かしたディフェンスとリバウンドでチームに勢いをもたらす。

 表紙にはこの3人のウチナンチューを起用した。同郷者が揃うと気ままな会話が弾み、取材現場は笑いに包まれる。私が優秀なディレクターであれば『危険なスズメバチ』の顔つきを引き出せたのかもしれないが、撮れた写真すべてが陽気な表情だった。

 結果的にテーマは『ENJOY!OKINAWA MARCH MADNESS』に決めた。Bリーグのシーズンが佳境に突入する3月は、全米を熱狂させるNCAAトーナメント(マーチマッドネスと呼ばれる)もあり、地球規模でバスケットボールが盛り上がる。バスケットボールのチカラでコロナウイルスを吹き飛ばすほど、楽しもうという願いを込めている。
(金谷康平、沖縄バスケットボール情報誌アウトナンバー編集長)