<南風>日本復興へ沖縄の役割


社会
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 3月27日Bリーグは、今シーズンの全試合の中止を決定した。これに伴い、琉球ゴールデンキングスは27勝14敗で西地区1位を確定させ、3シーズン連続地区優勝を決めた。

 昨シーズン主力として活躍した多くの選手が退団し、大幅な選手の入れ替えを余儀なくされ、厳しいシーズンになると開幕前から不安視する声が多かった。ライバルチームが充実した戦力補強を行っていたこともあり、私自身もキングスがチャンピオンシップに進出するのは難しいだろうと悲観的にみていた。

 そんな前評判を覆し、キングスは着実に白星を重ねた。絶対的な存在がいないからこそ生まれた『危機感』が組織としてのスペックを高めたかのような、激しいディフェンス、粘り強いリバウンドとルーズボールから速攻を連発、勇敢な戦いぶりはブースターの心をがっちりとつかんだ。

 ただ困難も多かった。復活を遂げたかに見えた大黒柱ジョシュ・スコットのけがの再発と退団や佐々宜央ヘッドコーチの退任など、長い時間共に戦ってきた仲間との突然の別れに心を痛めた。それでも度重なる試練を乗り越えて成長し続けるキングスをもう少し見ていたかった。

 沖縄にプロバスケットボールチームが誕生してからこれまでの13シーズンの中で、今シーズンのキングスが最も沖縄らしいチームだったように思う。素晴らしい戦いを見せてくれてありがとう。

 さて思いもよらず早くシーズンが終わってしまったが、次にやるべきことに切り替えよう。落ち込んでいる暇はない。この島のバスケットボールはアップデートを急がなければならない。バスケットボールで日本中を元気にしていく、その役割が沖縄にはある。そして2023年ワールドカップのホスト県として世界を受け入れる準備をしよう。
(金谷康平、沖縄バスケットボール情報誌アウトナンバー編集長)