<南風>使い込み、横領など(その3)


社会
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 十分な証拠資料の保存と規則的な記帳を当然とすることがコーポレートガバナンス(会計の基本)である。特に、世間から隔離されたような海外子会社や非営利的な団体には適切な管理が必要である。

 非営利的な団体において、独善的な理事者が機会に乗じて組織を私物化する場合もあるし、善意の理事者による場合でも、経費節約、担当者まかせという意味のない過度の信頼、手抜き、管理不足、開示不足、利益相反がある。その結果、監視不十分下で、犯罪可能な会計方式の実施、ネコにサカナの番をさせたような状況を放置する。

 このような中での会計不正は、現に今もどこかで発生していると思われる。収入が妥当かどうかは、その収入の請求、回収、保全、検証に信頼があること。支出が妥当かは、その支出の必要性、公正性、承認、検証に安心があること。ある非営利的な団体において、「収入計上は、金融機関の口座に入金したものであるので正しい」、「支払計上は、領収証があるので正しい」とし、それで収支決算を終え、理事者が団体の財産の私的な乱用をしていた。そして、それを容認している中で会計不正がゴミの中の細菌のように発生して多額の使い込みがあった。

 不正の発覚は、通報によるものが40%もあるといわれている。しかし、通報があってからでは手遅れである。通報前の取り組みが必要である。事前のコンプライアンス体制、理事者の適切な関与と確認、簡素でも明確な規定、相互チェック体制の構築、現物確認、キャッシュレス化の推進など、規律に基づいた金銭の取り扱いが行われることが大切である。きちんと法令を順守し、組織を守る経営が行われなければ、恐ろしいことになる。

 しかし、最近ガバナンスを重視する企業が増えているのは心強い。
(山内眞樹、公認会計士)