<南風>「やくざいし」(Ⅰ)


社会
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 人間ドックの結果説明で「胆のうに、半円形でエコー輝度が強く、アコースティクシャドウをひく物がある、痛くなったら受診」と言われました。何の説明か理解できますか?

 また、知人の乳がんの方が、「何年生きられますか?」と主治医に尋ねた時に、「人間は必ず死ぬのだから何で知りたいの」と言われ、希望を奪われ号泣した体験を聴いたことがあります。

 ことほどさように医師の言動は患者さまを混乱させたり、時には奈落の底に突き落としたりすることがあります。ストレスの多い現代社会は、「体の病気」だけでなく「心の病気」も急増し、心療内科・精神科は患者さまでいっぱいです。当然患者さまは安心できる医療を望んでおり、医師との信頼関係を大切にしたいと思っています。

 一方、医師から不本意な対応をされたら、二度と治療を受けたくないと思われるのも無理はありません。

 焼津市の「やきつべの径(みち)診療所」の夏苅郁子先生は、全国7千人余の患者・家族に「精神科担当医の診療態度」を評価するアンケート調査を行い、患者・家族の本音を紹介しています。

 「あまりにも寡黙」「聞いているだけという感じ」「医師は薬を買うための自動販売機」「説明を求めるとキレル」「患者に多くを語らせないオーラが出て怖い」「話を途中で遮(さえぎ)られる」「日によって気分にムラがある」など、など。

 このようなことは、精神科医・心療内科医だけでなくすべての診療科の医師に問われている患者・家族の心の底からの訴えです。耳を傾け、「やくざいし」の汚名を返上しましょう。

 冒頭の説明は、胆のう結石=胆石のことです。専門用語で一方的にまくしたてる「やくざいし」の例です。

 なお、「やくざいし」は、薬剤師の先生方のことではなく、「やくざ医師」のことです。
(原信一郎、心療内科医)