<南風>逆境の中で動き出す社会起業家たち1


社会
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 新型コロナウイルスが拡大し、緊急事態宣言の対象地域以外でも、さまざまな影響が出ており、ようやくという言葉を使ってよいのかわからないが、多くの人が「自分ごと」として今の状況を受け取り、行動変容が起こっているようにも見える。

 アジアの女性社会起業家ネットワークを構築して、7年近くなる。先週から新型コロナウイルスが、女性起業家たちにどのような影響を与えているのか、アジア各国の仲間に連絡をとり、簡単なヒアリングを始めた。世界中で多くの人が苦しい状況にある今、女性起業家たちもやはり厳しい状況や判断を求められていることを共有してくれた。

 ミャンマーの女性起業家は、仕事がなく貧困下にあった女性たちに雇用を生み出してきていた。素材や手織りにこだわり比較的高価格設定をしているため、ミャンマー在住の外国人や観光客をターゲットに商品を販売していたが、渡航制限や多くの外国人が帰国している中で、商品が売れなくなってきている。貧困層の女性の雇用創出が創業の想いであることから、仕事依頼は今も止めずに続けているが、もう限界に来ていると教えてくれた。

 同様の声がベトナムやタイの起業家からも聞こえてくる。そんな中で、タイのアパレル事業を営む女性起業家は、いち早く自分のブランドで使用していたオーガニックコットンを使った布マスクを販売し始めていた。それだけでなく、布マスクを自宅で作成できるような説明動画などをSNSにアップしたりもしていた。

 彼女たちは「各国起業家の取り組みを知りたい」と前向きに情報を求めている。逆境の中でも、新たな挑戦や取り組みが生まれようとしているのだ。

 次のコラムでも、未来に向けた希望として、そんな新たな動きを紹介したい。
(渡邉さやか、AWSEN創設・代表理事 re:terra社長)