<南風>ご存じ?おうちミュージアム


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「おうちミュージアム」をご存じだろうか。県立博物館・美術館の公式HPからアクセスできる。新型コロナウイルスの影響により学校が休校となる中、子どもたちが、家庭で楽しく学べるアイデアを発信するプログラムである。同プログラムは北海道博物館が提唱したことから始まり、現在では全国のさまざまなミュージアムが参加している。当館が発信しているのは動画コンテンツ「ウチナー民話のへや」だ。現在31話を公開している。

 同コンテンツは、沖縄各地の民話を「しまくとぅば(方言)」とアニメによって紙芝居的に読み聞かせができるようになっている。音声は1970年代から2000年代に地域の古老たちの話を録音したものである。「浜下り」や「若返る夫婦」の話、「耳切坊主」「きじむなー」といった妖怪の話、「なぜハエは手をすりすりするのか」などの民話を方言と共通語の字幕付きで視聴することができる。各地域の風土や歴史に育まれてきた民話を、その土地の言葉で語り、次世代への文化や言語の継承につなげようと制作している。

 他にも常設展示解説「ツナガルマップ」では、展示室の様子や資料の写真を公開している。面白いのは、琉球王国時代の絵図や地図の場所を現在の地図で確認できる点だ。ウェブで歴史の旅を満喫してほしい。

 ところで先月、中国のインターネット「百度(Baidu)」が当館を紹介する企画があった。新型コロナの影響で在宅の子どもたちに向けて世界の博物館を紹介する番組に登場したのだ。なんと24万人が視聴した。通訳付きで常設展を案内し、沖縄の歴史や文化を紹介しながら双方向的に進めていった。途中「好きな漫画は何ですか」という意外な質問があった。予想外の質問に私は思わず「鬼滅の刃」と答えてしまった。実は家族でハマっている。
(外間一先 県立博物館・美術館主任学芸員)