<南風>逆境の中で動き出す社会起業家3

 新型コロナウイルス時代における女性社会起業家たちの新たな取り組みについてご紹介する3回目の今回は、フィリピンのECHOstore(エコストア)という会社を紹介したい。

 エコストアの創業者であるChit(チット)は、これまでにさまざまな賞を受賞しており、フィリピン国内だけでなくアジアでも広く知られる65歳の女性社会起業家である。彼女の起業は、20代で音楽ラウンジを開くところから始まる。その後、2008年に持続的なライフスタイルをテーマに女性3人でエコストアを創業している。この会社を通じて、オーガニックで持続的なライフスタイルを提案・体現することに加えて、事業利益を通じた財団を設立し、彼女が特に思い入れを持って扱っているコーヒーの農家を支援することなどを実現している。

 エコストアの店舗はクローズしテイクアウトだけにしているが、その一方で、地域の農家ネットワークを通じて食材を集めて、店舗でお弁当をつくり、「Frontline Feeders PH」として最前線で勤務し続ける医療従事者たちに食事を届けている。また、現金収入が減っている農家に対して、米の寄付なども行い、貧困層への緊急支援も実施している。印象的なのは、チットはお金や物資を寄付するだけでなく、手紙などで相手を思いやるメッセージもあわせて、届けていることである。

 今回の新型コロナウイルスへの各国の対応状況として、ニュージーランドやドイツ、台湾などの国の女性リーダーたちの対応を称賛する声が聞こえてきている。生物学的な女性ではなく、「女性脳」が持つ相手への共感力や寄り添いが、不安を感じている人々に安心や勇気を与えているのだろう。チットも、そんなことを感じさせてくれる女性リーダーの一人である。

(渡邉さやか、AWSEN創設・代表理事 re:terra社長)



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