<南風>閑散としたG・W


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 本来なら連日、高速船やフェリーからあふれるほどの乗客が訪れる渡嘉敷島の大型連休。新型コロナウイルス感染予防対策で那覇―渡嘉敷島間の渡航自粛要請と併せて4月25日から5月末日まで高速船の運休、フェリーの運航時間変更で、観光客の姿はほぼ見かけなくなりました。

 村民も沖縄本島への渡航を控えており、私も先月に一度だけコロナ対策緊急融資契約のため、所有する船で沖縄公庫まで日帰り出張。公営船で感染が起こると船員の自宅待機や船の消毒など生活基盤を揺るがす事態が発生するため、リスクを避けた苦肉の策でした。

 渡嘉敷村の経済構造は9割が観光産業に依存しています。観光客、修学旅行、社会教育施設の研修生等、島外からの入域者が島の経済を支えているのです。昨年は夏、秋の台風の影響で船の欠航が相次ぎ大きな損失がありました。飛行機の飛ばない小離島の宿命とはいえ、いつも大きなリスクと背中合わせなのです。コロナウイルスに関しては日本中、いや世界中が怒りのぶつけどころのない、心の重い日々です。ただそれによって島の大自然が変わることはありません。今はしっかりと感染予防対策をしつつ、経済対策も同時進行させることも急務です。

 渡嘉敷村商工会には、国の雇用調整助成金や持続化給付金、また沖縄県の緊急対策支援に関する相談や申請の増大で、職員は休日も返上し対応に当たっています。中小規模事業者が苦しい今だからこそ、地域に、そして会員に寄り添う伴走型の経営指導を行っています。必ず訪れるであろうV字回復を信じ、ここ渡嘉敷島の大自然を、世界中から、日本中から、沖縄中から足を運んでくれた皆が満喫し、島中に「大きな歓声と幸せな笑顔があふれる」普段の生活に戻れるよう、あとひと踏ん張りです。
(新垣徹、渡嘉敷村商工会会長)