<南風>35年を振り返って


社会
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 1カ月前の4月17日、JICA沖縄は正式オープンから35年の節目を迎えました。今日まで皆さまから賜りました、当センターの国際協力事業に対するご理解とご支援に厚く御礼申し上げます。

 昨年末からの新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ、関係者の方々へのご連絡も控えていたところ、前日16日に緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されたため、センターにいる者のみで当日を迎えました。ホームページに掲載した研修員とスタッフだけの記念写真は少し寂しく感じますが、40周年、50周年は、これまでと同じようにこの苦難も乗り越えた沖縄で、笑顔いっぱいで迎えられると信じています。

 「沖縄国際センター」(OIC)は1981(昭和56)年1月、鈴木善幸内閣総理大臣(当時)がアセアン諸国歴訪の際に、日本のアセアン諸国に対する「人造り」協力構想を提唱し、日本側での人材育成の拠点として沖縄にJICAのセンターを設置する、と述べたことから動き出します。同年3月に、総理に随行され、センター設立に多大なるご尽力を頂いた稲嶺一郎参議院議員(当時)による「試案」が発表され、沖縄県、外務省、沖縄開発庁、JICAによる具体的な計画策定が進みます。8月に建設場所を浦添市前田にする方針が固まり、9月には地鎮祭が行われました。その時に記念植樹されたリュウキュウマツ、デイゴ、ホルトノキ、ガジュマルは今では立派な大樹です。

 58年9月に着工、建物がほぼ完成した59年10月になると、国際センターの位置付けを中心に、国際協力と国際交流、人材育成の考え方や、アジアとの関係、沖縄にとってのメリットなど、異なる立場からさまざまな意見が出され、活発な議論が行われました。

 次回、OICが果たしてきた役割を振り返ります。
(佐野景子、JICA沖縄センター長)