<南風>沖博協 博物館めぐり


社会
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 最初は29の館園に関係者合わせて約50人が出席した。1977年7月に誕生した沖縄県博物館協会、略して「沖博協」である。結成大会の会場は首里にあった県立博物館だった。

 その設立目的は「博物館ならびにその関係者が相互に連絡提携することによって、博物館事業の振興を図り、もって地域文化の向上発展に寄与する」こととなっている。参加した各館園は、協会が結成されるや「たちまち相互の連帯感がほとばしり、連携への濃厚な気分を会場いっぱいにみなぎらせた」という記録が残っている。また当時の会長は「各館園の融和をはかりながら(省略)たとえ規模は小さくても、その地域において文化や自然を守り育てる唯一の施設であり、かつ社会教育の面でも大きな役割を果たしている」と述べ、結成した沖博協の今後の進展に期待した。

 同大会では報告を引き続き行った。そこでは学芸員の調査研究、資料収集の重要性とその保管と活発な教育活動のため施設整備が必要だと強調。また私設の資料館や植物園が果たしている教育的役割についての報告もあり、職員の技術向上のために研修体制を確立することを訴えた。

 第1回の研修会は同年12月に「地域社会と博物館等」をテーマに開催した。研修会は沖博協の会員のみならず、一般県民の参加も歓迎した。内容は読谷村立歴史民俗博物館の設立構想や沖縄こどもの国の催し物について、観光施設玉泉洞の博物館的性格や石垣市立博物館の入館者分析など多種多様なものだった。80年には九州博物館協議会の研修会が沖縄で初開催。83年にはガイドブック『沖縄の博物館』を刊行した。結成から約40年。現在67団体が加盟し公式サイトも運営している。新しい生活様式の中、機会を見つけて各地の個性的な博物館めぐりを楽しんでほしい。
(外間一先、県立博物館・美術館主任学芸員)