<南風>どんな未来をつくりたいのか


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 コロナ禍でアジアの女性社会起業家たちがどんな新たな動きをしてきたかについて、これまで4回紹介をしてきた。今回も含めた残る2回では、そんな女性社会起業家たちから学ぶ「どんな未来をつくりたいのか」ということについて、書いておきたいと思う。

 私たちは、日々多くの情報に触れているし、その中には今後の未来について予測するような情報やセミナーも多い。ただ、最も大事なのは「私たちはどんな未来をつくりたいのか」ということである。予測しても未来はわからないし、確実性のあることは時間が平等に経過していくことくらいで、それ以外に確実なものは何もないとも言える中で、自分の足で立ち、自分の目で現実を見て、自分の頭と心で感じて決めていくことが必要である。

 過去4回で紹介してきた女性起業家たちは、それを実践している人たちであったことを思い出してほしい。

 マスクをいち早く作り、作り方も公開していたタイ人の女性起業家、患者の位置情報を政府と連携してデータ収集するとともに、AIを使った簡易自動診断システムを開発したタイの女性起業家チーム、関係のある農家と連携して医療従事者に無償で食事を提供するフィリピンの女性起業家、難民の雇用創出とマスク提供の両方を続けているタイやマレーシアなどの女性起業家たち。その全員が、自分でつくりたい未来を描き、自分の心で感じたことを信じて、行動に移しているのである。

 COVID―19は、グローバリゼーションを一時的に分断し、それまであった課題を顕在化させ、格差も大きくしている。この先、どのように新たな連帯としてのグローバリゼーションに変えて未来をつくっていくのか。女性社会起業家たちと共に、行動していきたい。
(渡邉さやか、AWSEN創設・代表理事 re:terra社長)