<南風>2カ月遅れの海開き


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 渡嘉敷村では6月15日に、商工会主催の「2020鯨海峡とかしき島の海開き」が行われます。例年だと大型連休直前に、阿波連ビーチ、渡嘉志久ビーチの海浜及び海中の清掃を行い、その後村内外より関係者や来賓、さらには地域住民、観光客をお招きし、安全祈願、海上保安庁によるヘリコプターを使用しての海難救助のデモンストレーション、地元芸能の披露、目玉イベントの青年部による「魚つかみ取り大会」等が繰り広げられ、夏本番前の恒例行事でした。

 ところが、新型コロナウイルス感染防止対策による緊急事態宣言、離島への渡航自粛要請を受け、渡嘉敷島の観光関連事業者のほとんどが3カ月近くの営業活動の休止を余儀なくされ、海開きも開催時期未定の延期となりました。

 6月に入り、ようやく、フェリーや高速船の通常運航が再開し、徐々に島への人の流れも見え始め、島の経済も動いてきました。今回の海開きは、一番の目的である、安全祈願のみを行い、その他のアトラクションは全て中止。イベントとしては寂しい限りですが、世の中の現状を踏まえると致し方ない決定です。

 村内企業は自粛期間の3カ月間で多くのことを体験しました。私もその一人で、これほど長く島から出なかったのは、経営者になって30年余りで初めてです。ただ、この機会にしかできないことを考える時間の使い方を心掛け、地域経済、商工会の運営、個人的には今後の会社の展望、社員やその家族のことなど、ダイアリーにいろいろ書き綴(つづ)りました。特に久茂地で営む飲食店に行けなかったことで、店長はじめスタッフに不安を与えたのが一番つらかったです。

 渡嘉敷島が日常に戻るのは、まだまだ先ですが、15日の海開きとともに、「少しずつ前へ!」と進んで行きたいものです。

(新垣徹、渡嘉敷村商工会会長)