<南風>ローカルはグローバル


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 琉球新報「南風」の執筆の話をいただいた時は、大変光栄なことだと思った。一方、博物館班で日々の業務にあたりながら原稿を書き上げることに不安もあった。しかし家族や同僚、遠く離れた場所の友人や懐かしい先輩などから感想をいただき何とか続けることができた。本当に感謝の気持ちでいっぱいである。

 沖縄独自の魅力は世界的に誇れるものだと「ローカルはグローバル」という内容から始まり、イギリス人冒険家の話に高校野球やオリンピックに関する石碑の話、大好きな漫画も取り上げつつ博物館的な話題で「南風」を続けた。最終回は現在の県立博物館・美術館のことにしようと思う。

 再開したのは5月21日のことだ。止まっていた時の流れが再び動き出したような感覚だ。新型コロナ禍の影響を受け閉館していたが42日ぶりに開館した。再開に向け政府が提唱した「新しい生活様式」等を参考にした感染予防に関するガイドラインを策定し、来館者が安心して展示を鑑賞できるよう運営をしている。

 昨年度に多くの方々から寄贈していただいた資料250点を紹介する新収蔵品展が開催中だ。また近代沖縄に関する「激動の明治大正の沖縄」展は伊藤博文が琉球処分にあたった松田道之に宛てた書簡や、初代県令の鍋島直彬が沖縄行きを決意した書簡などを展示している。当時の人々の足跡を追いながら沖縄について考える機会にしてほしい。

 さらに常設展の美術工芸部門展示室では「よみがえれ首里城」というテーマで、当館が進める琉球王国文化遺産集積・再興事業によって復元した手わざで甦(よみがえ)った文化財を出展している。来月には収蔵資料10万点の中からコレクション展を開催する予定だ。当館でディープな沖縄の魅力に呑(の)みこまれてほしい。そして最後はやっぱり「ローカルはグローバル」なのだ。
(外間一先、県立博物館・美術館主任学芸員)