<南風>大切なことは目に見えない


社会
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 「ママ、天国に行ったら隣同士になろうね。一緒に天国にも行けるといいな」突然、息子が私に話しかけた。「ママが先に天国に行って準備しとくね。隣同士になろうね」そう返事しながら、なんだか今天国にいるような、満たされた幸せな気持ち。この満たされた感覚と同時に「大切なことは目に見えない」というフレーズを思い出しました。

 「星の王子様」の本に出てくるフレーズです。計13回にわたり執筆させていただいた南風も最後となりました。自己推薦で文章を審査していただいてから約6カ月。母が亡くなり新しい一歩を踏み出したく「死」について考えたこと、「悲しみ」の感情整理、そして子育てを通した「暮らし」に焦点を当て執筆してきました。

 文章を読んだ方から電話やお手紙を頂く喜びも味わいました。実父からは「もう寂しい記事は書かないでくれ」と言われたこともありました。立場によって抱えている感情の捉え方、「南風」の利用の仕方が変わることも実感しました。私が最も大切にしているのは「感情」です。感情は身体の声でもあり、健康のバロメーターだからです。

 大切な人が泣いている時、どのように声をかけますか。大切な人が力を発揮できなかった時、どのように声をかけますか。大切な人が落ち込んでいる時、どのように声をかけますか。きっと「大丈夫だよ」「そのままでいいよ」。そのような言葉だと思います。そしてその大切な人は「自分自身」なのだと思います。自分自身が満たされた気持ちでいる時、他者をどん底から救い出すことができると私は思います。

 6月17日で母が他界して2年がたちます。よく頑張ってきたね。自分を褒めたいと思います。今辛い方、希望が持てない方、悲しみの中にいる方、どうぞご自身を一番に。
(玉城恭子、HaNaCoLi代表取締役)