<南風>新宝島


社会
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 6月29日(月)沖縄県庁で琉球ゴールデンキングスは玉城デニー知事に首里城再建寄付金を贈呈した。昨年10月31日に火災による消失を受け、キングスは再建支援ステッカーを製作、販売と募金活動を行った。全国各地に散らばるBリーグ21クラブにも支援活動の輪が広がった。首里城再建を願う全国のバスケットボールファンのあたたかみを感じることができた。

 世の中の関心が高まることで、首里城地下の「司令部壕(ごう)」の保存・公開に向けて話が進展しているようで、それは「再建」の前にやるべきことだと個人的には思っている。

 ここ数カ月、失って初めて存在の大きさに気付かされた。首里城の消失、突然の事故により41歳の若さでこの世を去ったコービー・ブライアント。そしてコロナウイルスの感染拡大により失われたバスケットボールのある日常は尊いものだと身に染みた。人生に起きることは悲しいことがとても多いが、現実を受け入れ、生きていることのありがたみを感じつつ、前に進む力に変えていこうと思った。

 アウトナンバーを発行するときは、毎回「これが最後になる」という思いで取り組んでいる。後悔が残らないように、表現したいことは出し尽くす。それでも完成後は満足感よりも不満足感が大きい。こうするべきだったという反省が次々と湧いてくる。企画を含めた制作面やコスト削減の方法、多くの人に知ってもらうためのプロモーションなども改善すべきことばかりだ。一方でアウトナンバーというモデルには可能性を感じている。現在の中央集中型のメディア構造に対して、アウトナンバーは地域に特化しているので、沖縄のバスケットボールファンという限定的であるが「身近で心深くに突き刺さる」ものだと自負している。このようなモデルは全国的に広まっていくだろう。

(金谷康平、沖縄バスケットボール情報誌アウトナンバー編集長)