<南風>挑戦する力


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 幼い頃、物おじしない子供だとよく言われた。思い返せば、会う人ごとに「天然パーマなの」とあいさつし、近所の工事現場の人に「何をしているの」と話しかけている子だった。人との出会いや、知ることへの好奇心が私をおしゃべりにしたのだろう。

 好奇心の芽はぐんぐん育ち、もっと広い世界が知りたいと、沖縄を飛び出し、さらに留学という形で海外での生活も経験した。

 その後、沖縄に戻り海洋博公園で働くこととなった。多くの観光客でにぎわい、幼い頃よく家族と訪れていた時とは大きく様変わりした海洋博公園。最初の仕事は、前職でも経験のあった環境マネジメントシステム(ISO14001)の事務局。書類の取りまとめなどの庶務的な業務や、中国語の看板の校正やイベントの手伝いなど変化に富んだ日々がスタートした。

 しばらくして、海洋博公園と沖縄美ら海水族館の広報業務に携わることになった。期待に胸をふくらませつつ、経験のない仕事、任された責任の大きさに「自分にできるだろうか」「失敗したらどうしよう」という不安の方が大きかった。

 「今できないことだからこそチャンレンジには意味があり、不安は新しい冒険に必要なちょっとしたスパイス。」あれこれと思い悩んでいた頃、職場の先輩がこんな応援のメッセージを贈ってくれた。この言葉に背中を押された。好奇心で胸を躍らせていた幼い頃を思い出し、不安の鼓動を新しいことに挑戦するワクワクに変えていこうと決心した。

 あれから、さまざまな経験を積み重ねる中で不安が邪魔しそうな時、この言葉を思いだす。

 今回、この「南風」の執筆もそんなスパイスを感じながら飛び込んでみた。これから半年間、温かい目で読んでいただけたらうれしい。
(山口茜、沖縄美ら島財団 首里城公園業務課長)