<南風>前例にとらわれず


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 今回、新報社よりコラム「南風」への執筆依頼があった際には大変驚き、まさか私に依頼が来るとは? 論壇、南風等は関心を持って日頃から読んではいたものの、いざ自分が執筆するとなるとためらうものである。この年67歳、人生100年時代が到来したといえども数年前と比較するとかなり体力が落ちた気がする。いつあの世へ行っても悔いのないよう少しばかりの経験話を筆にしてみたいと思い引き受けたしだいである。

 「前例にとらわれない」・「決断力」・「組織改革」を主テーマに私のこれまでの経験を元に年末まで執筆させていただきたいと思います。

 最近、元沖縄県教育長諸見里明氏(著)の「学力テスト全国最下位からの脱出」の本に出合う機会を得た。文章の構成は時系列で分かりやすく、小説を読んでいる感覚で読めて、早く結末までたどり着きたい一心で一気に読んでしまった。

 全国最下位を脱出するには子供たちを預かる教育現場の意識改革が最も重要であるとの強い決意の下、県教育庁内部の組織改革およびスタッフの共通認識、人材登用、財政上の難関、幾多の立ちはだかる壁をブチ破り、前へ前へと突き進んだ諸見里氏の強い思いと信念が人を動かし、それに呼応する教育庁内部のスタッフ、学校教育現場の動きが実に分かりやすくリアルに描かれている。

 この本に深く共鳴し、これからの執筆内容に重なる点が多いので紹介させていただきました。

 本には単なる教育行政の組織改革のみならず、あらゆる組織、企業に内包された「前例がないから無理です」という悪しき慣習から脱却する多くのヒントが描かれています。ぜひ多くの人に読んでもらいたい本です。
(比嘉明男、県パークゴルフ協会連合会長 日本郵便沖縄支社長)