<南風>メモの力


社会
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 昔からさまざまな手帳を使ってきたが、ちゃんと使い切ったことがない。最初は張り切って毎日書きこむのだが、じきに空白が増えてくる。特に最近は、スケジュール管理であればスマートフォンやWeb上のカレンダー等で事足り、その手軽さから紙の手帳の出番がますます遠くなってしまう。

 それでも毎年手帳を新調するのは、単に紙に文字を書くのが好きということもあるが、やはり必要な時にパッと書ける手軽さ、そして「振り返り」を大切にしたいと思っているからである。どうしたら記録し続けられるか、いろいろと試行錯誤を重ね、現在は手帳とノートを併用している。

 手帳には行動を、ノートには考えを書き留めることにしている。とはいっても、ノートには何でも書いている。タスクリスト、打ち合わせメモ、読書記録や気になった新聞記事の内容。仕事をしていると、メールや電話、請求書や提案書など、さまざまな書類の確認、気が付くと会議の時間。といった細切れの時間の中で業務をこなしていくことが多い。考えたこと、気づいたことをできる限りメモし、一日の終わりにノートを振り返り、手帳に行動を記録する。

 メモを取り記録することで頭の中のごちゃごちゃを整理し、なぜこれに取り組んでいるんだろう、なぜこれは重要なんだろうかと自分の時間とエネルギーが何に向かっているかを確認する。小さな「なぜ」を問いかけることで、今やるべきことがよりクリアになる。

 もちろん、メモを取れない時もあるし、もはや自分でも解読が難しい走り書きのメモもある。懸命にがんばっていたんだろうなと、手帳をパラパラめくり、空白のページや曲がった字を眺めながらちゃんとは使い切れなかった過去の自分を認める。そんな時間も大切にしている。
(山口茜、沖縄美ら島財団 首里城公園業務課長)