<南風>「9・11」で確信、資本主義の業


社会
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 資本主義の問題に関心を持った理由は、世界恐慌と第2次世界大戦の因果関係である。1929年に起きた米株式市場の暴落を起点とした世界恐慌は、各国の帝国主義によって、世界大戦で決着させる他なく、全世界8500万の人命を失い、原子力爆弾による多大な環境破壊をも引き起こした人類史上、最大の惨劇である。沖縄も国内で唯一、住民を巻き込んだ日米の直接戦闘を経験し、沖縄戦終結前に、沖縄守備軍最高指揮官と参謀長が自決したことで、日本軍の指揮系統が崩壊、その後のアメリカ軍の投降勧告に従おうとする沖縄の民間人を日本軍が千人以上殺したといわれる惨劇が起きた地でもある。

 「こんな愚行を繰り返していては、人類はいずれ滅亡するだろう」、大学生時代の私が感じたことだ。そこから世界恐慌の原因究明と解決策の模索を始めた。大学院進学も考えたが、実際の「お金」の世界に触れたいと考え、金融業界に入り研究を続けることにした。就職氷河期の時代であったが、小さな投資顧問に就職が叶(かな)った。が、いわゆるブラック企業で、毎朝5時半に起きて帰宅はいつも夜10時過ぎ、休日出勤も当たり前。通勤電車で立ち寝したことが何度もある。

 就職後まもなく、2001年9月11日、資本主義は、再び人類に悲劇を引き起こす。米同時多発テロである。今でも鮮明に覚えている。帰宅後テレビをつけたら、ウォール街のワールドトレードセンターに飛行機が突っ込んだという。しかも、NHKのライブ中継で、もう1機が突っ込むのを見た。資本主義の犠牲になった中東の人々の一部がイスラム過激派となり、自爆テロを決行した。NY証券取引所は、株式市場の暴落を防ぐため、緊急閉鎖された。

 このとき、改めて確信した。「お金の問題を解決しなければ、人類は必ず滅びる」と。
(仲津正朗、OIST アントレプレナー・イン・レジデンス副学長待遇)