<南風>教員としての覚悟


社会
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 専門学校とは、どのような教育機関だろうか? 私の周りでは、予備校や学習塾に近い印象を持つ人が多く、入社前の私もそのように思っていた。

 正式には、学校教育法に基づいて設置された学校であり、職業に直結した知識・技術を習得させるための教育を行う教育機関である。したがって、資格取得や試験合格のための教育を行うことはもちろんのこと、卒業後は企業の即戦力として活躍できる人材を育てるための職業教育にも力を入れている。

 専門学校日経ビジネスは、高校生の間では厳しい学校といわれている。厳しいという言葉の解釈も人によって異なるが、多くの高校生は、友達や恋人と遊ぶ時間や、アルバイトもできないほど、勉強漬けの日々を送る先輩(在校生)の変貌ぶりを厳しいと捉えている。また、社会人に必要な生活態度やあいさつ、マナー、言葉遣い、清掃などを徹底指導することから、軍隊を想像する人もいるようだ。しかし、高校生から厳しい学校といわれているのに「自分を変えたい」「夢をかなえたい」といった理由で厳しさを求めて、毎年500人近くが入学してくる。

 採用面接後、間もなく入社した私は、教員としての自信のなさから、指導する立場でありながらも学生の意見に同調し、友達のような接しやすい関係性を築いていた。

 ある日、卒業間近の学生数名が道徳に反する行為をした。その時私は、一人の人間として社会に出る前に正したいとの思いで話をしたが、聞き入れてもらえなかった。学生と本当の意味での信頼関係の構築ができていなかったからだ。私が社会人として自立できていなかったことに気づかされ、悔しさとともに、教員として人生の貴重な時間を共に過ごす学生にどう向き合えば良いのか考えさせられた。
(島袋菜々子、日経教育グループ HRD labo OKINAWA取締役)