<南風>指導者として パート2


社会
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 私は国頭郵便局に勤める郵便配達のおじさんである。しかし、子供たちは決しておじさんとは言わない。「あきおにーにー(兄々)」と呼んだ。初心者である子供たちの指導は決して順風満帆ではなかった。

 指導は3年生から6年生までの全児童16人で、同じ練習方法では無理があった。低学年は基礎からのマンツーマンの指導を行い、高学年はハイレベルの練習を行った。ある日、仕事が忙しく練習に行けない日があった。翌日練習に参加すると子供たちから厳しい言葉があった。「あきおにーにーうそつき、あしたも練習来ると言って来なかったさー」。その一言で子供たちには大人の理屈は一切通用せず、一緒に汗を流すことによって子供たちとの信頼関係が生まれることに気が付いた。休日は皆で川へ行き、エビを取って水辺でバーベキューを楽しんだものである。学校との連携も良好で、練習が終わると職員室にて校長や教職員とビールでテニス談議に花を咲かせたものである。

 10年間の基礎からの指導実績は、県大会においては幾度も優勝し、県外では平成4年第9回全国小学生ソフトテニス大会準優勝(団体女子)、同7年第7回九州地区中学選抜ソフトテニス大会優勝(同)、同8年第1回全九州小学生ソフトテニス大会優勝(男子個人)の実績を残した。基礎から指導を行うことにより数々の実績を残したものの、深く考えてみると自分自身が成長させられた感じがした。

 多くの生徒と接することで、個々の性格や身体能力に適したカリキュラムを組むことで個性を引き出し成長させることができた。また、周辺環境としては、保護者や学校との関係、本土派遣の度毎(たびごと)の資金集め等さまざまな経験が、人材育成や企業の社会的責任(CSR)として自社の地方創生の取り組みに生かされている。

(比嘉明男、日本郵便沖縄支社長 県パークゴルフ協会連合会長)