<南風>節目の習慣


社会
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 11月も半ば、年末の足音が聞こえだす。年末年始は仕事ということも多いので、毎年、慌てないように計画的にやるぞと決意するのだが、結局はバタバタしてしまう。特に大掃除。最大の課題は「掃除」の前の「片付け」。不用品を整理し、二度と増やさないと決意しても気付かぬうちにまた多くの所有物に取り囲まれている。

 片付けとは、視界から物をなくすこととは別のこと。無駄な作業をせずともわかりやすく、見渡せてすぐに手に取れるようにする。というのが理想である。

 片付けについては個人やプロを問わず、書籍やSNSなどでも、さまざまな手法や考え方が紹介されている。近藤麻理恵さんの「ときめき」を基準に片付けるとか、やましたひでこさんの「断捨離」など話題となったものも多い。それだけ私たちは抱えきれないほどの物を所有し、もがいているのかもしれない。

 身の回りを整理整頓し、ほこりを払い、すっきりとした空間を作ることで新しい年へ渡るひとつの区切りとする。流れゆく日常とは違い、年末、新年、記念日などの節目を区切りとすることはものごとの起承転結がつけやすく、節目を意識して行動することで、自分の中の流れを整えていきやすいと感じる。年末の大掃除もその一つで、作業を通してこの1年を振り返り、新しい年へのバトンの受け渡しの準備の時間とすることができる。

 そして、やはり年末の「大片付け」と「大掃除」をできるだけ負担のないように、日々過ごす空間の快適さや気持ちのゆとりが維持されるように「小片付け」と「小掃除」を習慣化できるようにしたい。昨日から今日、今日から明日へと流れ続ける毎日にスタートラインを引き、自分の流れを整えていくことを習慣にする。これは、来年へと持ち越す私の目標としたい。
(山口茜、沖縄美ら島財団首里城公園業務課長)