<南風>仮想通貨天国


社会
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 まずは創業チーム。カギは多様性と規制対策。友人でYahoo!Japanでトップ評価エンジニア兼起業家のアメリカ人ジョンをCTO、友人紹介で金融庁を説得し日本最大P2Pレンディングのマネオを育てた妹尾さんをCOOとして巻き込んだ。

 次に投資家。インナーサークルに食い込める日本人は2人。1人は伊藤穰一さん、もう1人がシリーズAでEverNoteへ投資実績のあるCAV現地パートナー南出さん。高速に動いてくれ、日本法人への投資は日本チームになるということで田島社長とつないでくれ、彼は2週間で1社当たりの投資上限5千万の出資を決めてくれた。

 ところが2014年1月末、仮想通貨取引所Mt.Goxの巨額ハッキング事件が発生。CAV投資家の中小企業基盤整備機構からOrb社への出資に待ったがかかる。が、田島さんが説得。感謝しかない。

 しかし、この事件で業界は逆風スタート。早速、規制対策を開始。私の発案でロビー団体による戦略的な規制対策を講じるため自主規制団体・日本ブロックチェーン協会(JBA)を発足。Orb社顧問弁護士の増島さんに資金決済法の施行に携わった堀弁護士を紹介してもらい、彼女のリードでJBA提案による仮想通貨の合法化を進め、福田峰之元内閣府副大臣の強力な支援も加わり、わずか2年後の16年5月に改正資金決済法は国会で可決。

 同法案は世界で最も先進的と評され、私は森金融庁長官肝入りの「フィンテックベンチャーの有識者会議」に業界唯一の委員に選ばれ、業界立ち上げをリード。世界主要メディアが「Japan is Crypto Heaven」と書き立て、世界中から日本への法人移転の相談が殺到。いよいよ明治の奇跡に匹敵する歴史的転換点が日本に来たと感じた。
(仲津正朗、OISTアントレプレナー・イン・レジデンス)