<南風>使命の目覚め


社会
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 転職先では総務部で4カ月ほど勤務した後に、人事部へ異動となった。その時期は、グループ会社全体で統一した人事制度を導入し、社員教育に力を入れようとしていて、人材育成の経験が生かせる部署への異動に、私はやる気が出た。

 人事の仕事は、一言でいうと組織上における人に関わる仕事である。人を採用し育成し、その後の成長を確認するための評価、そして待遇に反映する一連の活動を担っている。

 人事部では主に新入社員から執行役員クラスまでの階層別研修の企画・設計および運営の担当責任者として携わった。会社を超えて立場や役割を同じくする仲間と研修を通じて知り合い、学び合う中で、知識の習得とグループの一体感を醸成することを目的として、さまざまな工夫をした。講師の特徴を捉え、受講者の表情や発言、アンケートなどから理解度や満足度を把握し、次回もよりよい研修になるよう再構築する。これまでの教員の経験が生かされる業務であった。

 年間70日は社外で研修を運営し、本島北部や離島まで講師に同行することもあった。時には、現場の社員とお酒を酌み交わし、意見交換をした。グループのほぼ全員の社員と接する機会を得られ、人事が担う役割にやりがいを感じていた。研修という短い時間の中で、社員の表情や行動から仕事の充実感や悩みなど、一人一人の置かれた背景を想像していた。

 人事にとってお客さまは働く社員である。社員のパフォーマンスが最大限発揮できるよう環境を整えることで、現場の社員はお客さまに対して、より良いサービスを提供できるようになると考える。人と組織が活性化するためにはどうしたら良いのか。人の成長を組織の成長につなげる組織開発を行うために思考を巡らせながら、人材育成の重要性を改めて感じた。
(島袋菜々子、日経教育グループ HRD labo OKINAWA取締役)