<南風>これからの働き方


社会
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 人事部での新たな業務として、副業制度の導入があった。目的は、社員の活躍の場を広げ、モチベーションの維持・向上や視野の拡大、能力開発につなげる機会を設けるため。また、社会や経済の目まぐるしい変化と共に、人々の価値観や雇用環境も変化している中で、多様な働き方が求められる時代を見据えてのことだった。

 制度導入にあたり、本業との両立は可能なのか、会社や個人にどの程度影響があるのか、人事部として仕組みを作るだけではなく、当事者意識を持って取り組みたかったので、私も体験することにした。

 その頃、ハンモックを使用したフィットネスに夢中になっていた。空間を自由自在に動き回り、重力から解放されることで、童心に帰る楽しさと体調が整う効果を感じていた。そこで、趣味の延長でインストラクター業務を副業に選んだ。

 早々に資格を取得したものの、お客さまにレッスンを提供できるようになるまでに、手間がかかった。人に教える仕事をした経験から要点をわかりやすく伝えることはできても、お客さまを夢中にさせるエンターテインメント性や体の仕組みについては素人。模擬レッスンと知識習得を何度も繰り返す必要があり、これらの時間を本業以外で捻出するための時間調整が大変だった。レッスンを提供するようになった今でも、技術やスタジオ運営など、学びは尽きない。

 働き方改革の一環として、政府主導の下、柔軟な働き方が促進され2018年に副業が解禁された。コロナ渦による収入減や雇用不安、勤務形態の変化により、副業が一層広がっている。

 人生100年時代、何のために副業をするのか。収入も大切だが、自らが未来を描き、自己実現の能力開発として副業に取り組む、新しい働き方の時代が到来したともいえる。
(島袋菜々子、日経教育グループ HRD labo OKINAWA取締役)