<南風>失敗を恐れない方法


社会
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 「失敗もポイントが貯(た)まると思うといいよね」

 新型コロナウイルス感染拡大防止対策として緊急事態宣言が発令され、テレワークやWEB会議などの新たな働き方が急速に進んだ一年。経営者協会のメンバーで、新しい働き方に取り組むための課題やアイデアを出し合っていた時の話である。

 冒頭の言葉は、新しい提案がすんなりと進むことは少なく、一度ダメだとそれっきりで諦めてしまうこともあるのでは。という話から出た考え方の転換の仕方ついての意見である。例えば、お店のように仕事にもポイントカードがあり、提案するとポイントが貯まる。提案することで貯まる仕組みなので、うまくいかなくてもポイントがもらえる。何個かポイントが貯まるとOKがもらえる。さらにいつもポイントを貯めていると、今日は2個押しておくねと、早く承認にたどり着けるようになる。そんなイメージでチャレンジしていくといいのでは。という話だった。

 提案した結果ではなく、提案するという行動そのものに着目した考え方に、なるほどと思った。しばしば私たちはノーと言われると、自分自身まで否定された気持ちになる。しかし、ポイントを集めているのだと思えば心理的負担は格段に下がるかもしれない。一回で自分の意見を受け入れてもらうのではなく、相手が何を重要と考え、何に不安を感じているかに気を配り、自分と相手との視点をあわせていく余裕がうまれる。通じ合えないあの人、理解してくれないあの人、どうせダメだ。ではなく、何がダメで、なぜダメなのかを問うことができる。

 発明王のトーマス・エジソンはこう言った。「私は失敗したことがない。ただ一万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」。行動した人に失敗はないのだと思う。

(山口茜、沖縄美ら島財団 首里城公園業務課長)