<南風>クイナの保護活動 パート2


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ヤンバルクイナの保護活動は、獣医師である長嶺隆先生(NPO法人どうぶつたちの病院沖縄理事長)を抜きにしては語れない。ヤンバルクイナバカと言っても過言でないくらいヤンバルクイナが好きである。先生と私の出会いは、2001年に区民がペットとして飼養しているネコを個人で責任をもって飼育してもらう目的で、ネコにマイクロチップを埋め込む作業を県の獣医師会に依頼したのがきっかけで、現在も信頼関係が続いている。

 当時区民には「ヤンバルクイナを守ってメシが食えるか」との声も一部にあった。「自然との共生」は言葉では言えても実行するとなると大変な信念とエネルギーが必要になってくる。区は粘り強く活動を継続し、02年全国で初めてとなる区の条例「安田区ネコ飼養に関する規則」を制定、それが国頭村を含む奄美や全国的な展開になった。03年には、区評議員会は貴重な動植物をはじめとする地域環境の保護・保全の研究、かつ地域活性化の視点から、関係機関(長嶺先生、獣医師会)と連携し、コウノトリの郷(兵庫県豊岡市)の視察研修を行った。

 05年長嶺先生は独自でロードキルなどで傷ついたヤンバルクイナを手当する「ヤンバルクイナ救急救命センター」を安田区に開設した。区は所有する元幼稚園を無償提供した。安田小学校のこどもたちもクイナの給餌活動を行い、ミミズなどの好物を育てたり、観察したり、総合学習や環境教育の一環として取り組み、07年「環境大臣賞」を受賞した。こどもたちが積極的に保護活動に参加することで区民の意識に変化が出て自然環境に関するさまざまな取り組みが行われた。それが評価され05年「明日への環境賞」『朝日新聞社』・12年「うちなー地域づくり大賞」『沖縄県奨励賞』を受賞した。
(比嘉明男、県パークゴルフ協会連合会長 日本郵便沖縄支社長)