<南風>学ぶこと 生きること


社会
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 12月は師走といわれるように慌ただしく過ぎていくが、今年はコロナの影響で忘年会などの予定もなくなったので、大掃除に時間をかけることができそうだ。

 大掃除は、新年をつかさどる年神様を迎えるための神聖な清めの行事で「すす払い」が由来と聞いていて、一年のすすや埃(ほこり)を落とすことは、その年の厄や汚(けが)れを払うという意味があるそうだ。現代では掃除そのものが目的となっている印象を受けるが、家庭や職場の大掃除にはこれまでの生活や仕事の棚卸しと、今後の方向性が定まる効果もあると思う。

 好奇心と不安を抱えながら執筆を始めたコラムも今回が最後である。半年間の執筆は、まさに私の半生の大掃除であった。生い立ちやキャリアを振り返り、感情を客観的に整理することで、自身の価値観の理解につながり、進むべき方向性が見えてきた。

 さまざまな経験を経て、ようやく父と自社の事業のことを理解できるようになってきたと同時に、教育企業として人材育成を担う役割と責任の大きさも感じている。しかし、事業承継についてはいまだに覚悟が足りないし、使命感だけでやっていけるものでもないと思っている。

 多様な生き方、働き方が進む中で、学び続けることは、生き抜く力を身につけることでもある。卒業生にとっていつまでも誇れる学びやであることはもちろんのこと、これからは学びを通した大人の部活ができる環境を提供したい。例えば、事業承継を控えた境遇の仲間が集い、経営を学び、互いに高め合う場があっても良い。創業理念を引き継ぎながらも、時代の変化に合わせた教育と人材育成で、沖縄のさらなる発展に貢献したいと考える。

 最後に、毎回多くの方から温かい言葉を頂き、執筆の原動力となりましたことに御礼申し上げます。
(島袋菜々子、日経教育グループ HRD labo OKINAWA取締役)