<南風>ディープテックアイランド


社会
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 琉球には世界に誇れるものが三つある。まず古武道。世界初の刀狩りを行った琉球は武道を生み、中国に伝わり功夫、日本に伝わり空手・合気道・柔道になった。まさにイノベーションである。畏敬の念より移住以来、仲本氏の文武館で指導して頂いている。

 次に「善行社会」。これは未来社会の鍵の一つシンギュラリティと結びつく。「地獄は善意で満ちているが、天国は善行で満ちている」にある通り。崎元颯馬君(沖縄工業高生)の逸話に代表される琉球はシンギュラリティにおいて世界の100年先を行っている。

 最後がOIST。SDGs達成には、人類はGDPを捨て私が提唱するSSG(=自給自足率)に成長指標を切り替える必要がある。OISTの科学技術により高度な自給自足経済を世界に先んじて実現。ブロックチェーンを活用した直接民主主義を社会実装し、ゲゼルマネー型ベーシックインカムを導入、インフレのない、つまり経済格差が消滅した奉仕経済中心のブルーゾーンを完成させる。この起点がイノベーションパークである。その後この雛(ひな)型を沖縄全土に展開する。

 私には北谷がLA、恩納村がシリコンバレーとして映る。北谷に無料アートスクールを開校、ここから育つアーティストが島全体に社会彫刻を施し、インスタ映え名所として全世界を魅了。そして、そのアートと科学技術はベーシックインカムの原資となる。それが「ディープテックアイランド構想」の最終形態である。

 全ての起点は、2022年更新の沖振法にある。ここで99%が決まると予言しよう。さらに、もう一つの鍵がオードリー・タンしかり多様性社会を既に持つ台湾との連携である。

 子孫に何を受け継ぐべきか? 復帰50年。全琉球の民に真摯(しんし)に事に向き合ってもらいたい。
(仲津正朗、OISTアントレプレナー・イン・レジデンス)