<南風>「給食が命綱」


社会
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 はじめまして。りゅうちゃんランチサポート改めおきなわこども未来ランチサポートの活動をしている富田杏理です。「南風」の執筆者にご指名いただいたことに戸惑いつつも、活動から見えてくる沖縄について私の考えをつづっていきます。

 新型コロナウイルスの影響による突然の休校宣言。ここから全てが始まった。

 2020年2月27日夕方に安倍晋三首相(当時)が記者会見を開き、何の前触れもなく全国の学校へ臨時休校を要請した。私立学校の事務方として働いた経験がある身としては、突然「宣言」されてはたまったものじゃないなと思いつつSNSを眺めていた。

 会見終了からまもなく「給食がないと困る子は?」「子どもの食の確保は?」。そんな悲痛の声が全国の子ども支援活動者などからどんどん流れてきた。

 「給食が命綱」。ピンとこない人がほとんどだと思うし私もそうだったが、調べを進めると、1日のうちで給食しかきちんとした食事を摂(と)れず、夏休みなど長期間学校が休みになると痩せてしまう子が全国に少なからずいることが分かった。もともと沖縄の平均所得は全国でも低い。子どもの選択ではないのだから「子どもの貧困」という表現には違和感があるが、沖縄では3人に1人の子どもが貧困状態に置かれているという深刻な数字が明らかになっている。

 また未成年の扶養家族3人以上を多子世帯と言うが、沖縄では3人きょうだいなんて普通にいる。それ自体は良いことであるが、食費はかさむ。さらに一人親世帯が多く、非正規雇用の割合も高い。子どもたちの学校が休みになると母親も仕事を休んで家にいないといけなくなる。

 こうなると仕事を失う可能性は日増しに高まっていく。今では失業し食に困る親子が増えている。
(富田杏理、おとなワンサード代表)