<南風>日本代表 東江雄斗


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ハンドボールとの出合いについてコラムをスタートさせたが、話の続きは次の機会にして、今開催中の話題に触れたい。

 それというのも、日本代表男子がエジプトで開催されている世界選手権に出場しているのだ。こんなコロナ禍の最中に32カ国参加している。オリンピックの参加国は12なので、その規模が分かるだろう。日本は前回大会最下位という、オリンピック前の予定だった大会でいいところを出せず終わったのだが、延期もあり今回がオリンピック前の大会となった。チームは大会10日前からエジプトに入り、毎日PCR検査を行い、ホテルと会場のみの行動しか許されない厳戒態勢の中、相当なストレスと、疲労の中奮闘しているのだ。

 その先頭に立つのが沖縄県出身の東江雄斗だ。現在の日本代表に彼ほどのタレント性を持った選手はいない。プレイメーカーにしてチームトップスコアラーなのだ。現在コラソンのキャプテンは兄の太輝。彼も2年前までは強豪湧永製薬のキャプテンを務めていた選手だが沖縄のハンドボールのためにここに戻ってきてくれた。

 迎えた大会初戦、ヨーロッパ選手権2位のクロアチアとの試合、現在世界一のプレイヤーといわれるドゥヴニャク(背番号5)とシンドリッチ(同33)筆頭に世界選抜みたいなチームだ。事前予想でもクロアチアが大差で勝つ、だった。しかし試合は序盤から日本ペースで進む。東江がしっかりとゲームを作り、自らも点を重ねていく。キーパーの活躍もあり、前半戦を17―14の3点差で折り返す。後半が始まり、クロアチアが牙をむく。日本も3、4点差を保ちながら戦っていたが、後半18分23―23の同点に追いつかれてしまった。いつもの日本ではこのまま一気に離され大差で終わる試合を何度も見てきた。しかしこの日は違った。
(水野裕矢、琉球コラソン代表取締役CEO)