<南風>「気持ち」を届けたい


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 悲しい出来事が続いている。宮古島でお母さんが小さな兄弟をあやめてしまった。浦添で若い母子が交通事故で亡くなってしまった。高校生が部活の指導を苦に自死してしまった。東日本大地震から10年の節目を目前にして、東北でまた大きな地震があった。

 人智(じんち)の及ばない自然災害や突然の事故もある。細かいことはまだ分からないが、小さなきっかけでもあれば違う結末になっていたかもしれないと思うものもある。何ともいたたまれないしやりきれない。家族や学校・職場など身近な関係性だけが全ての世界、ということは往々にしてある。そうなると悩みや不満・困り事なども発散しにくく内側にため込んでいってしまう。いつもの生活とは少しだけ異なる社会・人との接点さえあれば、新たな視点が持てたり一瞬でも気が楽になったりということはないだろうか。

 コロナ禍で外との接点を持つことが難しくなり、生活が苦しい人も増えている。そんな状況だからこそ「あなたのことを気にしている人たちがいる」というメッセージを届けたい。

 ランチサポートでは、開始から今までに合計80以上の企業や団体・個人から物資などをいただいた。こんなにたくさんの人たちが「沖縄の子どもたちの助けになれば」と贈ってくれた気持ちだ。その気持ちはさまざまな形態で子ども支援に取り組んでいる方々に託される。それは子どもの親への支援でもある。

 食料品のバトンリレーを通して今つらい環境にいる子にも「気にしている大人がいる」と伝えたいし、子育てや日々の生活に孤軍奮闘しているお母さんにも「1人で抱え込まないで大丈夫だよ」と伝えたい。協賛してくださる方々、長年支援の現場で動いてくださっている方々、多くの人の「気持ち」が誰か1人にでも届きますように。

(富田杏理、おとなワンサード代表)