<南風>4月28日に生まれて


社会
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 私の誕生日は4月28日だ。先日41歳になった。4・28でぱっと「屈辱の日」と思い浮かぶ人も多いだろう。

 子どもの頃は翌日が祝日だから必ず休みでラッキーな日に生まれたと思っていたし、大学進学から県外に住んでいたから特に意識することもなかった。

 だが2013年に当時の安倍政権が主権回復を記念した「祝典」を開催したことにより、それまで以上に「屈辱の日」と呼ばれるようになった。以来毎年誕生日に新聞を見ると大きく「屈辱の日」とあり、沖縄がおかれる現状を改めて意識せざるを得ない。

 そして5年前にうるま市でジョギング中の若き女性が米軍属に殺されるという痛ましい事件が起きたのも、4月28日だった。

 今年、当日の全国紙を読み比べてみたらA新聞が米軍属事件から5年という記事が出ていたものの、沖縄が日本から切り離された日として報じている新聞は1紙もなかった。地方紙の社説も比較したが、やはり沖縄の話は出ていなかった。

 かたや本紙に掲載された銀嶺丸乗組員の西銘文太郎さんの証言は衝撃だ。米軍によるビキニ環礁水爆実験の死の灰を浴びたのに、米軍統治下にあった沖縄からの乗組員は検診の対象にすらならなかったそうだ。

 沖縄が切り離された屈辱の日から69年。広大な米軍基地が残されたまま日本に復帰して49年。そして、辺野古基地建設の土砂投入が始まった日。繰り返し琉球処分が行われ、今度は戦没者の遺骨が眠る南部の土砂が新基地埋め立てに使われようとしている。

 米軍基地から受けている被害・基地があることによる負担はどんどんひどくなっている感覚こそあれ軽くなったと感じられることはない。補助金と甘い蜜を誘い文句にする政治家もいるが、そんな問題ではない。沖縄の自己決定権を今こそ取り戻そう。
(富田杏理、おとなワンサード代表)