<南風>コロナ禍と少子化


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 初めまして。県内で冠婚葬祭互助会を経営している佐久間康弘と申します。結婚式場のマリエールオークパイン、葬祭会館の紫雲閣を展開しています。

 『未来の年表』著者の河合雅司氏が「コロナ禍によって少子化は、従来の予測より18年早送りされた」と発表されたのを見て衝撃を受けました。

 沖縄戦直後270万人あった日本の出生数は、2020年に過去最少の84万人となり、2021年には75万人と予測されています。この予測は国立社会保障・人口問題研究所の2039年推計と一致しており、少子化は18年早送りされたことになります。

 出生率全国1位の沖縄県も今年1~2月は、出生数から死亡数を引いた人口の自然減が2カ月続き、将来の人口増加率予測が全国2位の沖縄県でさえ少子化が加速しています。

 コロナ禍での結婚式延期や医療体制ひっ迫の中で妊娠を控えた影響が大きく、日本の婚姻件数は前年から12%、妊娠届も5%減り、どちらも戦後最少となりました。

 コロナ禍で人との接触の制限が求められ、出会いが減って恋愛もしづらく日本全体で大規模な恋愛停止が起きている可能性もあり、晩婚化・晩産化の進展と相まって出生数の回復に時間がかかりそうです。

 儀式は人間関係を確認・強化する重要な機会であり、「儀礼文化の再構築による人間関係の回復」こそが、日本の将来に大きな意味を持っていると考えます。

 コロナ禍において「沖縄のこころ」まで変質してしまわないように、ウィズコロナを前提とした新たな試みに挑戦し、多くの人が集うという沖縄の伝統を守っていきます。人が同じ場所に集まることで成立する儀式文化の意味や価値を後世につなぐことで、地域社会に貢献できると確信しています。
(佐久間康弘、株式会社サンレー代表取締役社長)