<南風>風のリズムを感じつつ

 サーフィンが東京五輪に採用され注目を集めたが、サーフィンから派生しボードの上にカラフルな帆を立てるウインドサーフィンはセーリング種目として1984年から五輪に採用されている。世界最速は時速98.7キロで走り、10メートルを超すジャンプもできる上に、風のみが動力のエコなスポーツである。

 日本人選手の活躍が期待される100メートル走男子の世界記録は9秒58(時速37・6キロ)。ウインドの場合、秒速10メートル(時速36キロ)ほどの風があれば一般の愛好者が使う用具と技術でも時速40キロを出すのは難しくはない。最もエネルギー効率の良い乗り物といわれる自転車でも、時速40キロで走り続けるには半端ないエネルギー消費が必要だが、海上を気持ちよく帆走するウインドサーファーの消費エネルギーは、バレーボールやバドミントンをレジャーで楽しむ程度である。省エネ過ぎてダイエットには向かないが、それくらいの体力で、動力を使わずに人類最速の世界を体験できる。

 以前にトライした人は用具が重く、なかなか上達しない印象を持ったかもしれないが、今は用具が進化し、かなり扱いやすく、帆を立てるのが容易になった。とは言え、気持ちよく走るには何度も海に落ち、その度に何ともいえない悔しさと爽快感を味わい、沖縄の海の素晴らしさを再発見できるはず。

 不思議なことに、一生懸命やっているとわかるはずのない風が変わるタイミングや波のリズムを感じられて大自然に受け入れられたような気分になる。58日間の長い梅雨が明け、強烈な日差しと夏至南風(カーチベイ)が夏の到来を告げている。風がよく吹くこの島でも、快晴で安定した南風が続くのはこの時期だけ。「今日は海の日」。暑い夏に向けて、海の上で風のリズムを感じつつ、自然との一体感を楽しんでほしい。
(平野貴也、名桜大学教授博士 スポーツ健康科学)



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