<南風>デザートの約束


社会
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 「ママ、今日も半分こしよう!」。我が家の次男とはデザートも2人で一つ。レストランへ行っても一つのメニューを一緒に完食するなど、それが私たち親子のルールとなっている。「ママ=一緒にダイエットする人」みたいな図式。彼なりに多少の不満はあるだろうが、ママがダイエットしてくれる仲間でもあるし、僕も頑張ろう!みたいに思ってくれている。

 彼には生まれつき遺伝子系の疾患があり、食べ過ぎると病気が悪化するリスクがあった。小さい頃から食事を制限しなければならないので、我慢をストレスに感じないように工夫をしたい。そう考えスタートしたのが「ママと半分こ作戦」だ。病気だからたくさん食べてはダメ!と言うのではなく、共に分かち合う同志になろうと考えたのだ。

 もちろん、納得できず「お兄ちゃんは食べられるのに、なぜ?」と聞かれることもあった。それでも食事をママと半分こすることでカロリーオフになり、メインもデザートも両方食べられるお得さや、一緒に頑張ってくれる同士として、心強く感じてくれているようだ。

 作戦が功を成したのか?最近では、進んで太りにくい食事を選択する、食べた後に運動をするなど、彼なりに頑張る姿を見せてくれている。時々、つまみ食いをしてしまうなどの失敗をすることもあるが、前向きにチャレンジを続ける彼の姿が、ほほ笑ましくも少し誇らしく思える母である。

 人生とは、山も谷も存在するバラエティーに富んだものだと思う。向き合わないといけないことは変わらなくても、ポジティブに捉える力と、視点を変えることで、明るい未来へ進むことができるはず。たとえ乗り越えられないと思ったとしても、相手の立場になり分かち合うことで、きっと一緒に笑顔の時間を過ごせるのだと信じて。
(宮平亜矢子、フラワーアーティスト)