<南風>ジュニア期に育むべきこと


社会
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 「心・技・体」。この言葉は、日本古来の武道(武士道)の精神から生まれた。1940年代に柔道家・道上伯氏が「柔道の最終的な目的は心技体の錬成であり、それによって立派な人間になることである。技術を習得するには強靱(きょうじん)な精神力が必要である。苦しさに耐えて修行を続行しなければならない。それによって体力もできるとともに心ができ武士道がわかってくる」と説いたのだ。

 心(精神力)技(技術)体(体力)の3要素がバランスよく磨かれることで最大限のパフォーマンスを発揮できると現在は、広くスポーツ界に浸透している。

 競技スポーツでは、早く結果を出したい余り技術の習熟に気を取られがちだが、ジュニア期は「強い心と体の土台を造る」ための大切な時期。「技」よりも「心・体」の比重に重きを置き、以下3点に取り組みたい。

 第一に、食生活を整えること。健全な心と体を造るために最も重要であり、アスリートとして何を食べるべきかを学ぶ機会となる。成長期と競技に必要なエネルギーが不足しないよう、意識して食べることで食べる力が身に付く。

 第二に、複数競技を経験すること。一つの競技だと同じ動きの反復から体のゆがみが生じやすい。複数競技をすることで、さまざまな体の使い方を学び、バランスよい筋肉の発達を促すことでけがをしにくい身体づくりに役立つ。

 第三に、成功体験を積み重ねること。「小さな目標設定→クリア」を繰り返すことで、やればできるという自信・挑戦する気持ちを育てる。努力を応援し結果を認めてあげることで子どもは自己肯定感が高まる。これは心の強さに比例する。

 道上氏が説いている通り、技術を取得するためには精神力と体力が必要。ジュニアアスリートを持つ親御さんは、この時期を大切に過ごしてほしい。

(平仲絢子、平仲ボクシングスクールジム マネージャー)