<南風>心揺さぶる爽快感


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 好きなことの一つにスカイダイビングがある。初めては22歳の頃、友人とのハワイ旅行中に思い切ってチャレンジした。インストラクターと自分とがベルトで固定され、高度確認やパラシュートのコントロール、着地の指示などはインストラクターが行うタンデムジャンプ。専用のジャンプスーツを着用し、簡単なレクチャーを受けた後、早速滑走路へ向かった。

 滑走路には「えっこれに乗るの?」と思うような小さな赤い飛行機。窓はガラスがなく窓枠だけ。その飛行機を、パイロットとインストラクターと私の3人で滑走路の端まで手で押した。飛行機に乗り込み、走りだすと機体全体がガタガタと音を立て、不安定に揺れている。空中にダイブするより上空にたどり着くまでの方が断然怖かった。

 いよいよ大空へ飛び出す瞬間、踏み出した後には、言葉では表現できない爽快感。実際は時速200キロを超えるスピードで落下しているのだが落ちるというより飛んでいる・浮かんでいるといった方が近い感覚。

 約1分間のフリーフォールは、自分の周りに触れるものが何もない解き放たれた感覚。ヒヤッとする真っ白な雲の水蒸気の中を突き抜けた後、眼前に広がる水平線。「地球って丸い!」という実景に感動し、自分を取り巻くさまざまな事柄が吹き飛ばされ、「自分は自然の一部なんだ!!」と心が揺さぶられた。「人生観が変わる」とはまさにこのことだと感じた。

 スカイダイビングで飛び出す高度は上空約4千メートル。富士山よりも高い。身近に例えると、飛行機に乗っていて着陸10分前の4点鐘が鳴るのがだいたいこの高さ。今は出張や遠征で飛行機に乗る機会が多いが、小さな窓から無限に広がる空を見ていると、あの時の感動と爽快感がよみがえり、何にでもチャレンジする活力が湧いてくるものだ。

(平仲絢子、平仲ボクシングスクールジム マネージャー)