<南風>聖地巡礼


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 私は城巡りが好きだ。美しい天守もよいが、県内のグスクは格別だ。雄大な景観もさることながら、城跡の場合、在りし日の琉球王国の栄華をしのび、歴史ロマンに存分に浸れる。壮大な眺めが圧巻の今帰仁城跡。北山王も見たであろう景色を望みながら、悠久の時のかなたに思いをはせれば諸行無常を感じる。

 座喜味城跡のユンタンザミュージアムは、沖縄の冠婚葬祭・年中行事の展示が充実していて、亀甲墓の中まで入れるなど葬送文化も学べて仕事にも役立った。中城城跡の高度な技術による美しい石積みは、なぜかやさしさを感じた。スマホでバーチャルツアーを楽しめた勝連城跡。あまわりパーク歴史文化施設オープンが待ち遠しい。

 世界遺産に登録された県内の5城には御嶽と呼ばれる聖域があり、人々の「祈りの場」となっている。首里城内には、なんと10もの御嶽があり、まさに城そのものが巨大なパワースポットだと言える。

 その中でも格式の高い首里森御嶽。正殿が東を背にしているのは太陽の恩恵を受けるためで、斜めに伸びる道は御嶽のパワーとつながるためと言われる。首里城の不思議な形は、沖縄古来の太陽信仰が関わっているようだ。

 久高島は琉球の祖の阿摩美久がニライカナイから降臨し、ここから国づくりを始めた聖地だが、斎場御嶽に久高島遥拝所が設けられたように太陽が昇る方向にあり、神の島とされた。

 サンレーの社名には三つの意味がある。その一つが「SUN―RAY(太陽の光)」であり、本土復帰の翌年に沖縄の地に縁を得られたことは感慨深い。

 先日、浜比嘉島のアマミチューの墓からシルミチュー霊場まで歩いて参拝したが、琉球神話は奥深い。次は「東御廻り(あがりうまーい)」の聖地巡礼を通して、さらに琉球の精神文化に触れていきたい。
(佐久間康弘、株式会社サンレー代表取締役社長)