<南風>つながる安心


社会
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 今年2月、内閣官房に孤独・孤立対策担当室が新設され、英国に次ぎ世界で2番目の孤独・孤立対策担当大臣が日本に生まれた。

 千葉大学の調査で、コロナ禍の外出自粛による孤立が健康被害を引き起こし、ボランティアやサークルなどで活動する頻度が減った人は、身体・認知機能の低下やうつのリスクが高まることが分かった。

 厚生労働省の推計では、認知症高齢者は2025年には700万人になり、65歳以上の5人に1人に達する見込みである。

 国立長寿医療研究センターの調査では、社会とのつながりが多いほど認知症の発症リスクが低下するというデータも出ている。

 心や体の不調を訴える人の背後にある孤立や生活不安などの問題に目を向け、人とのつながりを取り戻して健康を回復させる試みを「社会的処方」と言う。医師が処方する薬ではなく、地域で暮らす人の活動が誰かの孤独を癒やす「心の薬」になるかもしれないというものだ。

 全国の老人クラブ・老人会の会員数はピーク時900万人いたが、近年は500万人を割り込んでいる。「老人」の名称が敬遠されていることや働く高齢者の増加が背景にあるようだ。

 コロナ禍により活動が縮小している一方で、地域防災や孤立を防ぐために欠かせないと熱心な地域もある。地域の高齢者を緩やかにつなぐ受け皿として、老人クラブ・老人会の存在意義は今もなお小さくない。

 サンレーでもグラウンドゴルフ大会、隣人祭り、オール沖縄囲碁団体戦などのイベントを通して、元気な高齢者の方々が普段から集い、人生を豊かにする「場の提供とお手伝い」をさせていただいている。

 つながりと安心を提供する地元互助会として、今後も県民皆様の生きがいづくり・健康づくり・縁づくりをサポートしていきたい。
(佐久間康弘、株式会社サンレー代表取締役社長)