<南風>論語と算盤


社会
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 エンゼルスの大谷翔平選手がア・リーグMVPに選出された。大谷選手は大リーグを目指し、栗山英樹監督に勧められた渋沢栄一の『論語と算盤(そろばん)』を読むことで人間性を高めたそうだ。

 「論語」が道徳で、「算盤」が企業の儲(もう)けのことを指している。企業の目的は利益の追求にあるが、その根底には道徳が必要であり、世のため人のために責任を持つべきという思想だ。

 「論語と算盤」のように、並立を意味する「と」には、一見すると矛盾しているようなものを組み合わせることによって新しいものを生み出す力がある。

 「投手と打者」という大谷選手のリアル二刀流は、我々に新しい感動を与えてくれた。「投手か打者」ではない「と」の力により、見えない未来を信じる力が育まれ、想像もつかなかった二刀流という偉業を達成できたのだろう。

 私たちの心には、「自分だけよければいい」と考える利己の心と「自分を犠牲にして他の人を助けよう」とする利他の心がある。

 今まで資本主義を駆動してきた利己的な欲望を超えて、他者にとって価値のあることをしたいという利他的な信念こそが志である。そして、志を実現しようとする決意が未来を切り開く力となる。

 これからは「資本主義」ではなく、志を基盤とした「志本主義」の時代だ。冠婚葬祭互助会は「一人が万人のために、万人が一人のために」という志を具現化したものに他ならない。

 「礼」の心をカタチにした冠婚葬祭を通して「良い人間関係づくり」と「思いやりに満ちた家庭づくり」のお手伝いをし、平和で楽しい社会の実現に貢献することがサンレーの志だ。

 「論語と算盤」「投手と打者」のような「と」の力で、「社会を良くすること」と「利益を生み出すこと」は両立できるとサンレーが証明していきたい。
(佐久間康弘、株式会社サンレー代表取締役社長)